アップデートする学校事務職員

2050年学校事務職員への伝言

10時限目:アップデートする学校事務職員:「未来年表」を作る

 10時限目は、「未来を計画する年表」について考えてみたい。これは「組織マネジメント」でも使われる「ビジョン」のことだ。仕事をする上で、これは結構大事なファクターだと思う。

①このブログの題にもなっている「アップデートする学校事務職員」は、2016年に退職後、2019年にO町市の学校事務職員の後輩たちからファミリーレストランに呼ばれて「共同学校事務室」についての意見を求められたことから発している。

②その時同席していた組合事務職員部支部長から2020年に「地域に期待されるとは?」というテーマで話してほしいという依頼があった。その時に作ったパワーポイントの題が「アップデート?する小・中学校事務」だ。この題には?がついている。

③人間は日々成長すると信じている私は、毎日毎日ルーティンをこなしている学校事務職員も、目に見えない形で日々向上しているだろう。国や県も法令なども時々改正(改悪という人もいるが)している。するとその改正が、事務職員の意図しないうちに、アップデートされていたり、場合によってはバージョンアップされることもある。

④そういった法令の改正の隠された目的などに気づかない!学校事務職員もいるだろう。それに気が付いたときに、どこでどうアップデートしたのか。どこでどうバージョンアップしたのか。疑問に思うこともある。

⑤学校事務職員自身が、仕事に対して意識的にアップデートする必要があるし、また国や県からアップデートされたと気づく感性を持つ必要があるかもしれない。そして、いっそのこと、それをきかっけに一段階上のバージョンアップをする必要もあるかもしれない。アニメ・ドラゴンボールで悟空がスーパーサイヤ人にパワーアップしたように、学校事務職員もパワーアップしたい。そういった願いもあって、話をした。

⑥その時のスライドは次の通りだ。

-1はじめに 

・自分が勤務する学校をフィールドワークしてみよう

-2学校事務のマネジメントについて考える 

・学校での自分の役割を認識する(ハイデガー的現存在)

・日々の仕事をマネジメントする(仕事の基本)

・勤務している学校の問題点を分析する

-3アップデートする小中学校事務

・未来をどこまでイメージできるか

・行政にも教育にも強い学校事務職員になる

・学校事務職員配置の法制度の変遷から考察する

・共同学校事務室という道具をどう利用するか

・地域の期待に応える学校事務は憲法26条の順守

 (憲法26条1子どもの能力に応じた教育の提供 2義務教育の無償の実現)

-4「点の学校事務」を「面の学校事務」で考える思考法で未来を予想できたら、学校事務も学校事務職員もアップデートできるかもしれない。

 ⑦「学校組織マネジメント」で「ビジョン」の扱いについて、結構粗雑に扱っているような気がする。未来と言っても、1年先なのか5年先なのか、10年先なのか、もっともっと先なのか、なかなか自分たちで設定できないからだ。行政組織は「中期計画(5年)」「長期計画(10年)」という計画を立案する。だったら「学校事務」だってできるだろう。未来年表を考えてみることが必要だ。

⑧私は講演を依頼された時に、よく20年先までの白紙年表を配布して、自分が自分たちが何をしたいのか、どうなりたいのか、考えていただくヒントにしてもらっている。

⑨学校事務職員は、自分の勤務する学校で多忙な日々を送っている。目の前の仕事に追われることがある。「自己マネジメント」でスケジューリング技術を取得しても、それは今日のスケジュール、一週間のスケジュール、一か月のスケジュール、という形で仕事をどのように片づけていくかという短期プランだ。これはこれでとても大事なことだ。これも一つの「ビジョン」だ。

⑩もう一つ大事な「ビジョン」を作りたい。それは、「自分を何者かにする」というビジョンと、「勤務する学校をどうする」というビジョンだ。もちろん事務研や組合事務職員部などの組織は組織なりに「これからどうなりたいか」というビジョンが必要なのは言わずもがな、である。

⑪長野県の小中学校は「教務手帳スケジュールノート」を使うことが多いが、このノートはスケジューリングにはうってつけだ。是非「事務記録日誌」としても活用してほしい。

⑫2005年に山間地のT中学校に赴任したときに、夏期の気温を毎日測定して記録していった。それは3階の普通教室が暑くて授業にならないという声を担任や生徒から聞いたからだ。当時は「教室に冷房用のクーラー設置」などとんでもないという意識だったが、教室の室温測定を2年間行い、教育委員会との予算折衝の時にデータとして提供し、「クーラー設置」が決まったのだ。おそらくこの長野県中信地域では初だったと思う。今でこそ、どの学校にも設置されているが、個人的な天気の記録という習慣が役立ったのも、この「教務手帳スケジュールノート」があったためだと思う。

⑬長野県の学校事務職員は、3年から4年で人事異動する。私の場合ほぼ3年で異動していたので、「自分はこの学校に勤務する3年間で何ができるか」ということを良く考えた。その時におおざっぱな3年間の年表を作った。もちろん、赴任する学校の教育環境を調べる。何をすればいいのか、一年目にゆっくり考えてもいい。

⑭さて、10年後20年後の「ビジョン」を描くことはできるのか?

 できるのだ。「未来年表」を必ず作ってほしい。そして、状況によって軌道修正をしてもいいのだ。10年後、20年後の計画を書いてみよう。■