アップデートする学校事務職員

2050年学校事務職員への伝言

28時限目:アップデートする学校事務職員:「標準的職務表」について

①ブログの投稿を終了して、しばらくしてこんなメールがやってきた。

「県の事務研究会研修会で、カリキュラムマネジメントの講演会があった。そして地区の事務研究会では標準的職務表の話があった。長野県教委が2020年に『学校事務職員の標準的職務表(改訂)』を出したからだ。学校事務職員だからああしろこうしろとうるさい。毎日の通常業務の仕事だけでも大変なのに、学校事務職員も専門性生かしてがんばって働いてね、という、私からすると労働強化だ。」こんな内容だった。(要約しています)

②2020年に文部科学省が『事務職員の標準的な職務の明確化に係る学校管理規則参考例等の送付について(通知)』という文書で、学校事務職員の仕事の範囲を例示した。

 これは、「学校における働き方改革」のひとつとして、教員と事務職員の仕事の明確化を図ろうとする動きの一環で、例えば教員が行っている会計業務は事務職員が行う仕事であるとする根拠になる文書です。参考例と書いてありますが、会計業務などが教員の多忙化の一つとして挙げてあるものです。

③元学校事務職員の一人して思ったのは、文科省が教員と事務職員の職務内容を明確化していくならば、仕事量の測定を行い、それが処理できる人員配置を予算化するべきだろうということです。少なくとも、教員からそういった会計事務処理をさせないというならそれでもいい。学校事務職員にそれをさせたいならそれでもいい。ただ、それを処理する事務職員を増やせ、ということにつきる。1人配置の小中学校にも、高校並みの3~5人の事務職員配置をすれば、会計業務だけでなくテストの記録作成などの教務事務まで手を広げることができます。文科省は教員も40人学級で生徒指導など大変なんだから、欧米並みに20人学級までに引き下げてあげれば、業務オーバーも少しは解決する話しだ。教育は人の配置です。

④人の配置なくして「働き方改革」はあり得ない。というのが、みんなが思っていることだと私は信じていますが、そうはいかないのが、いかのふんどし、ですね。みんな知恵出して「働き方改革」しています。私も現職の時に長時間労働でした。なかなか改革できなかった。仕事に対する責任感や使命感でしょうか?

⑤それで、私がいただいたメールの話しですが、

文科省が通知を出した2020年に長野県教委は、以前出した『標準的職務表(2004年版)』の改訂を行い、文科省の通知に合わせたような『標準的職務表(2020年改訂版)』を出しました。こちらは、事務職員の専門性を強調して、カリキュラムマネジメントや情報管理など学校長をサポートすることを第一表としており、第二表で各職名(経験年数)に応じた実務的な職務となっています。

学校教育法で「事務職員は事務をつかさどる」と改正されたことも含めての改訂版ということなのでしょう。それはそれで学校事務職員の価値を高めようという意思は理解できます。

 私にメールをくれた方は、採用されたばかりの事務職員に第一表のような学校長のサポート業務は経験もなく無理だろうし、「事務をつかさどる」には荷が重いだろう、ということも書いてありました。

学校教育法で「教諭は教育をつかさどる」とあり、新人教員も新人事務職員も同じじゃないかという意見もありましたが、新人教員へのサポートと新人事務職員のサポートは雲泥の差です。というか、事務職員にはちゃんとした計画的なサポートがない、というのが実態です。とりあえず、大規模学校の県費複数配置校に配置して先輩事務職員からOJTを1年間受けて、それから1人校で独り立ちしましょう。ということです。

⑥だからサポートセンター機能的な「共同学校事務室」?というのもありだけど、ちょっと違うかなあと思います。まあ、そういう側面がないこともないけれど、職務に必要な研修は、ちゃんと任命権者(県教委)や服務監督権者(地教委)の責任で行ってほしいです。

⑦学校事務職員が、1学校現場で、2子どもたちと保護者の教育を支援する、という基本形を崩さないようにしたいですね。そして学校事務という仕事を楽しむ気持ちを無くさないようにしたいです。■

27時限目:アップデートする学校事務職員:楽しい仕事を目指して

①さて、私のブログもいよいよ本当に終わりとなりました。退職した学校事務職員のつまらないブログに付き合っていただき感謝です。

②ブログの内容は、現職時代の1980年代~2010年代、退職後の2020年代前半までの内容となります。

学校事務職員はこれからも採用され続けるでしょうし、そうなると若い事務職員とベテラン事務職員の間の世代間意識も大きく違ってくることが予想されます。

③世代間意識が大きく違うということは、とても良いことだと思います。若い事務職員の新しい発想で変化を起こすことができるのではないかと思います。「不易流行」という言葉があります。変わらなければならないことは変わっていくし、変えてはいけないことは変わらない、そういうふうにできているはずです。

④私の「はてなブログ」でのブログは3種類で、できています。

 1,『アップデートする学校事務職員』(ブログ)

 2,『学校事務職員Hの仕事(1997~2016)』(現職中の発表レポート)

 3,『2050年の長野県の学校事務』(退職後の講演スライド)

⑤1の『アップデートする学校事務職員』の中のブログの中から、2と3の発表レポートやスライドへできるだけリンクするようにしてあります。

⑥ブログは1時限からではなく、この27時限から逆に読んでいってもOKです。

⑦今働いている学校事務職員のみなさんに少しでも役立てばうれしいと思います。

⑧学校事務職員のだいご味は何といっても「児童や生徒たちとの交流です」。

これは役所の中にいたら絶対味わえないものです。役所内にいる職員との大きな差異です。

「教育現場で仕事をするのが学校事務職員です」楽しい仕事を!🔳

 

 

26時限目:アップデートする学校事務職員:『2020年アップデートする小中学校事務』

 2020年7月、長野県の大北地区 組合事務職員部長から講演の依頼をされた。

 このブログの題の元となった「アップデート」の講演だ。

 部長が言うには、大北地区学校事務職員の構成がベテラン層と若年層に大きく分離してきていること。そして若年層は、大規模校で1年間のOJT研修が終わっての異動で、初めて一人で学校事務を行うことになって不安を抱えていること。そこへもってきて、大北地区で全郡市的な学校間連携(いわゆる共同学校事務室)が法制度化されたこと。ベテラン層はこれにどのように対応すればよいのか。というような講演依頼の趣旨だったように記憶している。

①長野県の新規採用者は1年間大規模校で、ベテラン事務職員と二人で学校事務を実務研修していくが、2年目は人事異動で1人校へ赴任することになる。先輩事務職員に守られていた大規模校での経験を生かして、今度は一人で学校事務をマネジメントしなければならなくなる。どうやってマネジメントするか。その参考になるように、自分の体験談を話しながら、マネジメントの基礎的な話をする。自分は何のために学校にいるのか。それが分からないと、これからの仕事はつらくなる。それが気持ちに落ちれば、不安も経験を積んでいくと解消していく。

②そしてベテラン層からすると、降ってわいたような「共同学校事務室」をどのように運営していけばよいのかが課題だった。学校事務研究会がそのまま共同学校事務室になったと考えて、この状況を上手に利用することを考えたい。メリットだけでなくデメリットもある。それは「評価がされる」ということだ。そこのところをうまく行う知恵をベテラン層は考えたい。全郡市が共同学校事務室になったことで、県教委から兼務辞令が発令されている。若年層の不安解消のOJT研修を学校を越えて行うことができるし、他校とのコラボする学校事務などアイデア次第で、充実した学校事務ができるだろう。

この状況を、「学校事務がアップデートした」ととらえてもよいと思う。私は運営の仕方いかんで、「学校事務のバージョンアップ」ができるとみている。しかし残念ながら私はすでに退職した元学校事務職員。口も手も出すことはすでにできないので、優秀な後輩事務職員の皆さんにおまかせすることとしたい。■

その時のスライドはこちらです。

2020年「アップデート?する小・中学校事務(長野モデル2.0)」 - 2050年の長野県の学校事務 (hatenadiary.com)

25時限目:アップデートする学校事務職員:2050年の長野県の学校事務「持続可能な学校事務とは何か」

①小中学校に事務職員が配置されて、およそ70年が過ぎた。全国的な配置をだいたい1950年とすると2020年で70年。2050年は100年目ということになる。国の法制度はこの国の教育の基本的な部分を設計している。教育行政はその設計図を具体化する役目だ。時代の進行に合わせて、人類の価値観は変容する。「ジェンダーフリー」や「学校という教育施設にとらわれない」という価値観、そして「人口減少」というスケールに適応した教育制度への対応に向けて新しい教育行政が始まっている。「学校事務」もその中で変容していくのだろうと想像できる。

②2021年10月に長野県公立小中学校事務研究会の全体研修で

『持続可能な学校事務とは何か ー2050年の長野県の学校事務』

2021年長野県事務研 研修大会講演スライド - 2050年の長野県の学校事務 (hatenadiary.com)

という講演(オンライン?)を行った。

「共同学校事務室」という法改正がなされ、その対応については自治体の判断となっている。私は長野県の学校事務がそして、学校で働く事務職員が、これから未来に向かってどういったビジョンを持てばよいのか、というヒントとして「長野県的な共同学校事務室」を作っていけばと、講演の最後に提案した。

③2022年1月に「学校間連携」という「共同学校事務室」を運営している大北地区の冬期研修会でビジョンを含めた講演を予定していた。そこで

『共同学校事務室のトリセツ ーシェアする長野県スタイル』

2021年大北事務研「共同学校事務室のトリセツ(事務職員用)」スライド - 2050年の長野県の学校事務 (hatenadiary.com)

というスライドを用意していた。が、コロナ禍のため8月に延期となった。

④2022年8月に大北事務研夏期研修会で、教育委員会担当者も講演を聴くというので内容を大きく変更することにした。コロナ禍でもあったためオンラインでの講演となった。

2022年大北事務研『共同学校事務室のトリセツー教育委員会と学校事務ー』 - 2050年の長野県の学校事務 (hatenadiary.com)

講演スライドをリンクしたので、興味のある方はご覧いただきたい。■

24時限目:アップデートする学校事務職員:学校事務職員Hの仕事(1997~2016)現職中の発表レポート

このブログの元となったレポートなどを「学校事務職員Hの仕事(1997~2016)」としてハテナブログでレポートなどを公開しています。リンクしたので興味のあるレポートがあれば覗いてみてください。

退職までの40代50代の20年間は、ほぼ毎年何かしらのレポートを発表していました。

支部教育研究集会の学校事務分科会、地区や県の学校事務研究会で発表したものです。この中から、皆さんに読んでいただきたいものを10本くらい選んで公開します。というか、元データをなくしたものもあるので、現在持っているレポートの中からの選択という感じです。内容は、「学校事務の共同実施」関連、「学校組織マネジメント(経営学)」関連などが中心です。レポートが学校事務という仕事の参考になればうれしいです。

 

はてなブログ「学校事務職員Hの仕事(1997~2016)」

公開した現職中の発表レポートに★をつけました。リンクしました。

 

①2015年(60才)女鳥羽中「学校とわたし」支部事務職員部学習会

②★2015年(60才)女鳥羽中「これからの学校事務をどう考えるかー組織マネジメント的な考え方」安曇野事務研

2016年「これからの学校事務をどう考えるかー組織マネジメント的な考え方を利用して」 - 学校事務職員Hの仕事(1997~2016) (hatenablog.com)

③2015年(60才)女鳥羽中「学校組織マネジメント研修(発展)」上伊那事務研

④★2015年(60才)女鳥羽中「事務室ポイントカードー子どもと学校組織マネジメント」県事研第9分科会

2015年「事務室ポイントカードー子どもと学校組織マネジメント」 - 学校事務職員Hの仕事(1997~2016) (hatenablog.com)

⑤★2015年(60才)女鳥羽中「ゼログラビティ(後編)学校事務の共同実施」支部教研

2014年2015年「単数配置学校事務職員のセイフティネットをどのように構築するか」 - 学校事務職員Hの仕事(1997~2016) (hatenablog.com)

⑥★2014年(59才)女鳥羽中「ゼログラビティ(前編)学校事務の共同実施」支部教研

2014年2015年「単数配置学校事務職員のセイフティネットをどのように構築するか」 - 学校事務職員Hの仕事(1997~2016) (hatenablog.com)

⑦2013年(58才)豊科南中「学校組織マネジメント基礎の基礎講座テキスト」地区研

⑧2012年(57才)豊科南中(県事研カリキュラム策定委員会 全講座研修カリキュラムシラバス)

⑨2011年(56才)豊科南中「学校事務職員の研修とキャリアデザイン」地区研

⑩2010年(55才)鎌田小(県事研研修計画策定員会 第4次改訂研修計画)

⑪★2010年(55才)鎌田小「ロハスな学校事務―健康で楽しい学校事務スタイル」支部教研

2010年「健康で楽しい新しい学校事務スタイル」 - 学校事務職員Hの仕事(1997~2016) (hatenablog.com)

⑫★2009年(54才)鎌田小「新しい学校施設・設備の考え方について」県事研第7分科会

2009年「新しい学校施設・設備(学校建築)の考え方について」 - 学校事務職員Hの仕事(1997~2016) (hatenablog.com)

⑬★2009年(54才)鎌田小「エコロジカルな学校環境を考えるーヒートアイランド対策」支部教研

2009年「エコロジカルな学校環境を考える」 - 学校事務職員Hの仕事(1997~2016) (hatenablog.com)

⑭2008年(53才)鎌田小「学校経営参画 学校組織マネジメント概要」県事研第10分科会

⑮★2008年(53才)鎌田小「持続可能な学校事務を目指してー学校教育目標を支援する学校事務職員」地区研

2008年「持続可能な学校事務職員を目指して」 - 学校事務職員Hの仕事(1997~2016) (hatenablog.com)

⑯★2007年(52才)筑北中「学校教育目標をどう学校事務に反映させるか」支部教研

2007年「学校教育目標をどう学校事務に反映させるかー筑北中2005-2007」 - 学校事務職員Hの仕事(1997~2016) (hatenablog.com)

⑰2006年(51才)筑北中(県事研事務指導書委員会 指導書デジタル化研究調査レポート)

⑱★2005年(50才)筑北中「市町村合併と学校事務の共同実施について」支部教研

2005年「市町村合併と学校事務の共同実施について」 - 学校事務職員Hの仕事(1997~2016) (hatenablog.com)

⑲2004年(49才)大町南小(県教組未来を拓く学校事務 報告書)

⑳2003年(48才)大町南小(県教組未来を拓く学校事務研究委員会 調査レポート)

㉑2002年(47才)大町南小(県事研情報管理研究委員会 関ブロ発表レポート)

㉒2001年(46才)梓川中(県事研情報管理委員会 調査レポート)

㉓2000年(45才)梓川中「県費学校事務職員の高齢化問題についてー中教審答申」支部教研

㉔1999年(44才)梓川中「学校事務職員のための教育社会学の基礎知識」塩筑事務研

㉕1998年(43才)梓川中「学校事務職員の高齢化(中高年化)問題―2010年の学校事務」支部教研

㉖★1997年(42才)山形小「仕事の進め方と事務改善」県事研第5分科会

1997年「仕事の進め方と事務改善」 - 学校事務職員Hの仕事(1997~2016) (hatenablog.com)

㉗1996年(41才)山形小「学校事務の文化人類学的フィールド調査」支部教研

㉘1995年(40才)山形小「学校事務オーバーワーク学校の対策について」支部教研

23時限目:アップデートする学校事務職員:学校事務の知的生産の道具と技術

書き忘れたことがあったので、「ぽち袋」として書き残しておきたい。

①それは「学校事務の知的生産の道具と技術」だ。

 「それはなんだ」と思うかもしれない。

 何かを考える時や気持ちよく仕事をするために必要な道具と技術のことだ。こういったことは、小中学校に事務職員として就職した時から興味を持っていたし、このことで研究会の講座用レポートを書いたことがある。(ブログ『学校事務職員Hの仕事』で公開している1997年「仕事の進め方と事務改善」 - 学校事務職員Hの仕事(1997~2016) (hatenablog.com)

②全国に事務用品や文房具に興味を持つ学校事務職員仲間は多い。若くして亡くなってしまった長野県の学校事務職員だったM君は「学校事務」誌2021年に文房具の記事を1年間連載していた。彼が亡くなったのは残念だ。現在の事務用品の進化についていくには、事務用品カタログを読むことを勧める。もちろん教材備品カタログも仕事として読むことを勧める。

③古い話で申し訳ないが、仕事をしていた頃、アナログ機器とデジタル機器の移行期に出会ってしまった人間として、記録として書き残しておく。

④▼かな文字タイプライター

 1970年代後半、学校事務職員として就職した私は、当時傾倒していた文化人類学者の梅棹忠夫さんが書かれた『知的生産の技術』(岩波新書)を飽きるほどに読んでいた。この本は梅棹さんがフィールド調査に出かけてどのように情報を収集して整理して自分の考えをまとめるか、といった技術が書かれていた。この本の中で、特に魅かれたのは「かな文字タイプライター」だった。

⑤1960年代、梅棹さんは欧米人の様にタイプライターで日本語の手紙を打ってみたいと考えた。タイプライターはカーボン紙を挟めば複写コピーが作成できる。それで、最初は英文タイプライターでローマ字手紙を打っていたらしい。しかしそれは読み難いと不評だった。それで「ひらかなタイプライター」を丸善に特注した。「カタカナタイプライター」も特注した。かな文字はいい感じだが、やはり日本語は漢字かな交じり文だ。1990年の日本語ワードプロセッサーが発売されるまで待たねばならない。

⑥私は1980年に、丸善で市販されていた「ひらかなタイプライター」と「カタカナタイプライター」を購入した。学校事務の仕事に利用できないか?当時の予算執行は支出負担行為決議票を手書きで作成していた。市町村にもよるが4枚複写という所もあった。複写のため筆圧が強くなり、手や腕が痛くなった。私は普段から筆圧が高くて、この仕事は一苦労だった。私は数字の部分をタイプライターで打つことにした。予算伝票をカタカナタイプライターにくるくるとセットしてパチパチと打つのだ。うん!いい感じだ。2000年以降に市町村財務会計が電算化されるまで、私はタイプライターで作成していた。内容欄などの日本語文字部分はボールペンで記入したが、それはそれで、何だかオフィスで仕事している、という自己満足だった。これも、仕事を楽しくするにはどうするかといった工夫のひとつだった。

⑦やがて、ワープロ、ノートパソコンと事務機器は進化していく。現在はPCはもちろんだがタブレットなど必須の時代だ。どのように仕事に生かされるのか、ソフトやコンテンツ等、学校事務研究会も活用研究が必要だ。民間企業が進めているDXも参考にしたい。今の事務研は地域で情報共有のためのチャットなど行っているのだろうか。

⑧▼ファイリング

 私が採用された地区は長野県の飯田下伊那地方だ。ここの事務研は先進的な地区で、1970年代からすでに学校の文書をすべて「バーチカル・ファイリング」という方法で分類整理活用していた。70年代の後半に採用された私も、このファイリングの方法論を習得した。文書は分類整理されなければ活用されない。偉大な先輩たちの教えのおかげで、80年代人事異動で県内の各地へ赴任してもファイリング用品を購入して文書を分類して回った。しかし、私は90年代からファイリングの方法をバーチカル方式(垂直)から簿冊方式(水平)に変更することにした。それは「学校事務の見える化」が必要だと思ったからだ。文書分類表は県教委の準則に則ってほぼ全県統一基準なので、それを壊すわけにはいかない。文書の活用・保管・保存の方法を変えたのだ。松本地域はフラットファイルによるファイリングだ。このファイルをファイリングキャビネットにしまい込むのではなく、職員に「見える化」するため書棚に並べる。学校事務職員の多くは単数配置なので、誰でも書類の所在がわかりアクセスできる方法として、書棚に文書分類表に則って並べてあることはメリットが大きい。もちろん個人情報もあるのでカギのかかるガラスの書棚が望ましい。

⑨▼「教務手帳ノート(事務職員版)」

 教務手帳をどのように活用するか、悩んでいる人は多い。いらない、という事務職員もいる。しかし、スケジュール帳は必要だ。セルフマネジメントをするには、やはりスケジューリング技術が必要だ。ビジネス社会でシステム手帳が大ブームした頃、私も購入して使用してみた。しっくりこなかった。教務手帳は毎年、おなじ判型でおなじ体裁、というのがいい。2000年以降、学校事務日誌的な、TO DO的な利用法をしてきた。そして、教頭から学校月暦が配布されれば、学校事務の月スケジュールを作成し、学校週暦が配布されれば、学校事務の週スケジュールを立てるようにした。そして毎朝いきなり仕事を始めずに今日のTO DOを書き出して仕事を始めた。

⑩現在はスケジューリングもデジタル化されているのでしょうか。個人の好みもあるので、方法はいろいろかもしれない。しかし、地区やもっと広い地域で情報共有するためにデジタル化は必須だろう。私にはもうできないが、新しい時代の学校事務職員の皆さんのデジタルから先のクラウド的な学校事務を開発していくと楽しいかもしれない。

 でも、教育現場は人間と人間のリアルな場所。そこだけは外せないのでご注意を。■

22時限目:アップデートする学校事務職員:学校事務職員スターウォーズ的サーガ

①ブログ「アップデートする学校事務職員」をお読みいただきありがとうございました。ブログのベースになった、私が現職中の発表レポートや退職後の講義や講演で使用した文化人類学や教育社会学経営学の知識と、小学校から好きだった理科的なこと(地学・生物・物理・化学)やSF小説SF映画などをグルグルかき混ぜて、書いてみました。

②私はこのブログで、「学校事務職員はすでにバージョンアップされている」ことを書いてきました。そのことに気づくかどうかは学校事務職員みなさまのアンテナの感度によると思います。

③絵本「スイミー」で小さな魚が大きな魚に食べられないように集団となって防衛しています。NHKの海の映像で、小魚の集団が進行方向を突然変えるのを見たことがあります。その集団の向きを変えるのはに何なのか?集団の意思なのか?それとも指令を出す小魚がいるのか?海洋学者が映像を研究していました。研究結果はこうでした。先頭集団の2番目あたりにいる小魚が向きを変えている。おおおおおお!先頭を走っている小魚ではないんですね。なるほど。暗示的ですね。これは食物連鎖の「食べられてしまう集団」の防衛本能だと思いますが、結局、80%は食べられてしまうんですね。

④南極のペンギンが子どものエサのために海に向かって歩いていき海に飛び込みます。ところが海にはペンギンを食べるシャチとかいるんですね。慌ててペンギンたちは陸上へ上がりますが、ペンギンが何羽か食べられてしまい、満足したシャチがどこかへいなくなります。さあ、子どものためにエサを採りにまた海へ入らなければなりません。でもシャチがいるかもしれません。ここで1羽のペンギンが海へ飛び込みます。どうやらシャチはいないようです。それを見たほかのペンギンたちが次々と海に飛び込みます。

この勇気ある行動を「ファースト・ペンギン」と言います。(これは人間が勝手にそういうだけで、ペンギンに勇気というものがあるのかどうかはわからない。おそらく本能的なものだと思う)この行動も、何か暗示的ですね。

⑤バージョンアップするには、バージョンアップに持っていく前に少しづつアップデートする必要があります。今回のブログはそのアップデートするための参考になればいいかなあ、という思いで書きました。

⑥最後に「おみやげ」として、SF映画スターウォーズ」になぞらえて作った「学校事務職員ウオーズ」の想像未来図を紹介します。これは退職前の2015年の12月に、学校事務職員のある会で話のネタとして配布した物です。

 

 

 

内容は私の勝手な想像です。映画に合わせてこじつけただけなので、笑ってみてください。コロナ禍前だったので、みんなで学校事務のことをあーだこーだと言いながらお酒を酌み交わした時代のお話です。■