アップデートする学校事務職員

2050年学校事務職員への伝言

5時限目:アップデートする学校事務職員:「ジョハリの窓」と利害関係者(ステークホルダー)

 5時限目は、学校事務という仕事をしている自己と、学校事務職員を見ている他者について、「ジョハリの窓」という考え方を援用して考えたことを書いてみる。

 

①4時限目で書いたように、学校事務職員が憲法26条に関係した、教育関係者の一部であるということがだんだんわかってきた。学校で事務仕事をする、といった軽い気持ちでいた自分を恥じた。そうだよなあ。学校の児童や生徒そして保護者からみたら、学校事務職員はどう考えても学校側の職員だ。学校教育現場にいるからなあ。子どもたちは「〇〇先生」と学校事務職員を呼ぶ。当然ながら、学校は教育を行う施設だ。市町村が学校を設置し、住民は学校を信頼しているから自分の子どもを学校へ通わせる。教職員は子どもも保護者も地域住民も期待する「誰もが幸せな学校」を作る義務が課せられている、ということがわかった。

②4時限目で、仕事を発生源別に分類してみたことを書いた。それは学校事務職員側からみた事務的な発想だ。ここで視点を変えてみようと思う。

 「学校教育に関わる人たち」という視点で見ると、違う仕事の姿が見えてくる。

 経営学で利害関係者(ステークホルダー)という言葉がある。学校は営利企業ではないので厳密にいえば違うのかもしれないが、学校という組織から恩恵を受ける人たちという観点でみる。教員から見ると、教員にとって「子どもたち」が一番に来るかもしれないが、学校事務職員からみるとまた違うのだ。では学校事務職員からみて、自分に関係する人たちって誰だ。学校の中にいる人と学校の外にいる人に分類し、それを頻繁に関わる人とたまに関わる人に細分類してノートに書いてみた。



学校事務職員に関わる代表的な人たち

ⅠとⅡは学校の内部にいる人たち、ⅢとⅣは学校の外部にいる人たち

Ⅰ内部・頻繁に関わる人(教職員)Ⅱ内部・たまに関わる人(児童・生徒)

Ⅲ外部・頻繁に関わる人(教委職員)Ⅳ外部・たまに関わる人(保護者)

 

③「ジョハリの窓」というコミュニケーションを考えるためのツールがある。それはその窓を覗くと自分と他者の関係がわかるという窓だ。学校事務職員という仕事を誰かにプレゼンするにはこの関係者との対応が必要になってくる。

 

ジョハリの窓」自己と他者の関係

Ⅰ【開かれた窓】他者知る・自己知る、Ⅱ【気づかない窓】他者知る・自己知らない

Ⅲ【隠された窓】他者知らない・自己知る、Ⅳ【未知の窓】他者知らない・自己知らない

 

④「ジョハリの窓」を見ていたら、これってさっき自分が分類したステークホルダーと被るんじゃないかと思った。正当な方法ではないと思うが、かなり強引だが対応させてみた。

 

Ⅰ開放の窓=内部・頻繁に関わる人(教職員) 事務職員と教職員の関係

Ⅱ盲点の窓=内部・たまに関わる人(児童・生徒) 子どもたちに見られている

Ⅲ秘密の窓=外部・頻繁に関わる人(教委職員) 事務職員のこと知らない

Ⅳ未知の窓=外部・たまに関わる人(保護者) お互いに遠慮する関係

 

⑤学校に関わる人(利害関係者)とのコミュニケーション方法が何となくわかったような気がする。ちょっと考えてみる。

 

Ⅰ開放の窓 事務職員の仕事を教職員に「見える化」してみる

Ⅱ盲点の窓 子どもたちは事務職員を見ているなら事務職員側から働きかける

Ⅲ秘密の窓 教委職員ともっとコミュニケーションをとり学校事務の理解を促す

Ⅳ未知の窓 保護者とのコミュニケーション方法を考えてみる

 

 学校事務という仕事をする中でこれらを取り入れることにした。これらの窓はやがて開放の窓ひとつへとなっていくのだ。多分。

⑥学校事務を一人の学校事務職員がすべて担えるわけではないが、学校事務職員に関わる人たちに対して「自己開放」していくことが、学校事務の周知と理解を促し、学校事務職員という職業が認知されていくことにつながるのだろうと思うのだ。

 

⑦現職中にこの理論でやってみたことを書いてみる。学校事務職員なら誰でもできることだと思う。

Ⅰ開放の窓:学校事務の見える化 

・学期ごとの数値情報公開(予算情報など)

・ホワイトボードへ今日の仕事リストの公開

Ⅱ盲点の窓:子どもたちとの関わり

・事務室職員室に来るどもたちに声掛け(名前を覚えることが重要)

学校図書館内に「事務室情報コーナー」の設置

・学校廊下に「事務室かべしんぶん」の掲示

Ⅲ秘密の窓:教育委員会職員との連携

教育委員会との協働研究の提案

Ⅳ未知の窓:保護者とのコミュニケーション

・PTAへの参画

・学校徴収金(学年費や給食費など)への積極的なかかわり

・就学援助への積極的なかかわり

 

⑧子どもたちとの関わりのレポートはこちら

2015年「事務室ポイントカードー子どもと学校組織マネジメント」 - 学校事務職員Hの仕事(1997~2016) (hatenablog.com)

 

⑨私は学校事務という仕事の分類を、「誰のための仕事」か、という分類に変更した。

学校事務ーー児童生徒(学籍、転出入、教科書、就学援助、給食費

    ーー教職員(人事、服務、給与旅費、福利厚生)

    ーー学校経営(文書、情報、予算、学校徴収金、教材備品、施設)

 採用時の私は、書類を誰に出すのか、といった発想で仕事を分類していたが、そうではなく誰のために仕事をしているのか、という発想に変えることにしたのだ。■